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在宅医療のターミナルケアについて

2020年09月04日

在宅医療とは、何らかの医療を必要としながらも通院ができなかったり、自宅で療養することを選択した患者さんの元を医師や看護師が訪問し診療を行うことを言います。

高齢化社会にある日本において、注目され重要視されている医療の在り方です。

在宅医療では、訪問診療を行う医療機関のサポートにより最期の時を自宅で迎えることもできます。

限られた余生をより安楽に過ごすことに重点を置いた医療をターミナルケア、終末期医療と言います。

医療を行う、というと、より長く生きることに重きを置く傾向がありますが、無理な延命は患者さんに余計な苦痛や負担を与えたり辛い時間を長引かせることになりかねません。

ターミナルケアでは、延命よりも患者さんの尊厳を尊重しその人らしく過ごせるような治療やケアが優先されます。

ターミナルケアで行うこと

・身体面

身体的な症状・苦痛を緩和したり身体の清潔や安楽を保つことを目的とします。

例えば、癌の転移により強い疼痛を感じていれば積極的に医療用麻薬を使用し疼痛を緩和します。

寝たきりの方では褥瘡(床ずれ)ができやすくなるため、定期的に姿勢を変える等の工夫が必要です。

自身で着替えや入浴ができない患者さんであれば、介助を行うサービスを併用します。

清潔に過ごすことは人間としての尊厳を保つ上で重要な事項です。

お気に入りの服を着たり、女性であればお化粧をしたりアクセサリーを着けることも気分よく過ごす助けになります。

・精神面

在宅で過ごす患者さんは、その病状のため自身で好きなように過ごすことはできず、孤独になりがちです。

いかに住み慣れた場所とはいえ、孤独に過ごすことは精神的に健康とは言えません。

そのためターミナルケアにおいては精神面でのサポートは非常に重要です。

ご家族の積極的な関わりはもちろん、友人など親しい人と過ごす時間を取れるよう配慮することが大切です。

その際に気を付けるべきこととしては、その人が死を迎えようとしていることを受け入れて接することです。

患者さん本人は、死へ向かうことに対しての恐怖や不安を抱えています。

関わる家族や友人が、患者さんが死へ向かっていることから目を背けたり否定してしまうと、患者さんの不安はかえって増してしまいます。

残された時間を共に過ごし恐怖や不安も共有する、というスタンスで寄り添うことで患者さんの不安感を和らげ人生の充足感を上げることが期待できます。

ターミナルケアにおいては、医療者による治療やケア以上に患者さんと関わる家族や友人の役割が大きくなり、同時に負担も大きなものがあります。

死へ向かう人と何気なく接することは辛いことでもありますし、日々の介護負担は時が迫るにつれて大きくなります。

時には短期の施設入所や入院を利用し介護者のリフレッシュを図るのもいいでしょう。

最後の時を迎えたときは

残念なことですが、人はいつか死を迎えます。

死が迫った時、患者さんには様々な症状が現れます。

呼吸が苦しそう、うなっている、意味不明なことを言っている、など初めてその姿を目の当たりにすると、そばにいる家族にとってはとても辛く、大きな不安を感じることとなります。

まずは落ち着くことが大切です。

とても悲しく辛い時ですが、在宅医療を受け自宅で死を迎えることを選択した患者さんにとっては、人生最後の希望を叶える最も大事な瞬間でもあります。

慌てて救急車を呼び心臓マッサージを受ける、ということになれば患者さんの希望が台無しになってしまいます。

ターミナルケアを受ける際には、かかりつけの医師や看護師に最期の時を迎えようとしているときにどんな症状が現れ、どう対応したらよいのかを確認しておくといいでしょう。

まとめ

在宅医療におけるターミナルケアについて概説しました。

身体面、精神面ともに周囲の負担は決して小さくはありませんが、可能な限り身体的苦痛を取り除き、寄り添いながら過ごすことで、患者さんの望む形での最期を迎えられるようになります。

患者さん本人はもちろん、ご家族と医療者が十分なコミュニケーションをとることが大切です。

written by 内科医: Dr.NOZAKI