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在宅医療のメリットとデメリット

2020年08月11日

在宅医療とは、なんらかの医療を必要としているにも関わらず身体機能の低下や重度の障害などにより医療機関への通院が叶わない患者さんを対象とし、患者さんの自宅へ医師や看護師が訪問し診療を行うことを言います。

在宅医療は「訪問診療」と「往診」に区別されますが、この記事では訪問診療のメリットとデメリットについて解説します。

訪問診療の特徴

これまでの医療との違い

これまでの医療では、体調に異変がある場合は病院やクリニックを受診します。

診察や検査を経て処置や投薬を受け、病状により長期の通院や入院での治療・手術が行われることもあります。

入院治療を受けて回復したら退院し日常の生活に戻りますが、その後も通院が必要なことも多くあります。

通院は当然、医療機関へ定期的に出向く必要があります。

若い人や日常生活を送るのに不自由のない人は、医療機関へ通院することに問題はありません(もちろん仕事などとの兼ね合いはありますが)。

しかし、高齢者や身体機能・認知機能に障害を抱え通院が困難な人も多くいます。

日本は高齢化が急激に進んでおり、2025年には高齢者は3500万人、75歳以上の後期高齢者だけでも2200万人となる推測されています。

入院治療を受け退院が可能な病状となっても通院が困難であったり、自宅での療養が叶わないケースが増加することが予測されます。

しかし、全員が療養型病床への入院や老人ホームなどの施設へ入所するには限りがあり、医療の在り方が問題となっています。

それを受け、近年では自宅で医療を受ける在宅医療が重要視されており、急速に整備が進んでいます。

在宅医療の中でも訪問診療は多くの職種が関わりながら、自宅にいながら医療を受けることができます。

訪問診療のメリット

最大のメリットは自宅という住み慣れた場所で近しい家族と過ごすことができる点です。

生活能力の範囲で自由に過ごすことができます。

残された時間を望む場所で望む形で過ごすことができるというのはとても大切なことです。

訪問診療では、患者さんの持つ疾患や病状、生活能力、生活環境を考慮し、計画的・定期的に医師や看護師が自宅を訪問し診療を行います。

患者さんの状態によっては、看護師により床ずれや排泄ケア、吸痰の指導など細やかなケア・指導が行われます。

必要に応じて、歯科医師やリハビリ職、薬剤師、栄養士なども診療に参加します。

歯科医師による口腔内診察、治療は、誤嚥性肺炎や食事摂取・嚥下機能の維持に重要です。

自宅でのリハビリテーションは、医療機関で行うものと異なり実際に生活する場で行われるため、より実践的な能力開発が望めます。

薬剤師による服薬状況の確認や用法・剤型の提案は、より適切で確実な薬の服用に役立ちます。

栄養士による栄養指導や食事摂取状況の確認は、食事という生命維持の根幹を保つために重要な役目を担います。

このように、計画的・定期的に多様な職種が関わり診療を継続的に受けながら、住み慣れた自宅で療養することができる点が、訪問診療のメリットとなります。

訪問診療のデメリット

上記のようなメリットがある一方でデメリットもあります。

自宅での診療ですので、高度な検査や治療を受けることはできません。

普段と異なり特に体調が優れない時には、自宅で行える検査や治療では対応が行き届かない可能性があり、緊急時の対応は医療機関での診療には劣ります。

また、自宅での療養をサポートする家族の負担は増えます。

いくら本人が自宅での療養を望んでも、家族の生活状況次第では実現しないこともあります。

実際に訪問診療という形を選択したものの、家族の負担が許容度を超えれば継続が難しくなるため、本人だけでなく家族を含めた意思統一が必要となります。

訪問診療を考えている方へ

、訪問診療にはメリットもあればデメリットもあります。

訪問診療には、自宅で継続的な診療を受けられるという大きなメリットがある一方で、緊急時の対応が不十分になったり、家族の負担が増えるなどの決して無視できないデメリットがあります。

全ての医療に共通することでもありますが、何かを選ぶときには良い面と悪い面の両方をしっかり考慮して選択をすることが重要になります。

迷う場合には、かかりつけ医や病院の医療相談員などに聞いてみるといいでしょう。

written by 内科医: Dr.NOZAKI