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在宅医療を受けるまでに準備しておくこと

2022年02月18日

通院や入院はなく、住み慣れた場所で過ごしながら健康管理や医療的処置を受けたいという方にとって在宅医療は最善な医療と言えます。

在宅医療を受けるにあたって、事前に準備をしておくことや、手続きの流れとはどのようになるのでしょうか?

今回は在宅医療を受けるにあたっての準備や、いざという時に相談したい場合には誰に伝えればよいのかなども合わせて解説します。

在宅医療を受けるにあたって必要な準備・流れ

在宅医療を希望しても、すぐにスタートすることは出来ません。

在宅医療を行うまでには、定められた手続きや申請を行うことが必要となりますので、事前に準備を行っておくことが大切です。

出来る限りスムーズに在宅医療を行うためにも、まずはどのような流れや、必要な手続きや準備は何かを把握しておきましょう。

①かかりつけ医を探しておく

在宅医療を受けるにあたり、かかりつけ医を決めておくことは必須になります。

かかりつけ医とは、患者の住む地域の中で自分の健康状態を把握している医師のことで、何か不安に感じることや、体調がすぐれない時にすぐに相談をしたり診察をすることが出来る医師のことを指します。

かかりつけ医は、国の医療政策で診療所やクリニックを開設している開業医が多く、住まいから近く、いつでも迅速に対応をすることが出来る病院や医師が適しているでしょう。

かかりつけ医には、先程述べたように患者の健康状態や病状を把握し診察や治療を行うだけでなく、緊急時や患者自身が不安に感じた時などにはすぐに相談することが出来たり、専門的な検査や治療が必要と判断した場合には、救急で受け入れてくれる病院へ連携を図ります。

他にも健康診断をして状態を把握したり、介護保険の主治医意見書を書いたりと、患者のライフサポートも行っていきます。

かかりつけ医はまさに、診療科等は問わず患者の側で寄り添い共に歩んでいくパートナーになります。

在宅医療をスタートするためには、まずは自分の体調等をしっかりと把握し、長期的にサポートを行ってくれるかかりつけ医を持ちましょう。

かかりつけ医は今まで診察をしてもらっていた医師でかまいませんが、もしかかりつけ医を決めていない場合には、かかりつけ医の対応窓口などに相談しましょう。

②介護保険で要介護認定の申請を行う

在宅医療をスタートする際に、介護保険を利用する可能性もあるので要介護認定の申請を行っておくとスムーズに利用することが出来ます。

要介護認定とは、本人がどの程度の介護や支援、援助が必要かというものを示したもので、その認定の度合いによって公的な費用の援助額が異なってきます。

要介護認定を受けなければ、自費での支援になりますので経済的な面を考えても、在宅医療を行う前に要介護認定を申請しておくことが良いでしょう。

『現在の状況はこうなので、この程度の介護サービスが必要となる』ということを誰が見てもわかるように数字に表したもので、要介護1~5までと、要支援1~2のどれかにわけられます。

要介護認定は要支援よりも要介護の方が専門的な支援が必要と判断され、さらに数字が大きくなればなるほど必要な支援や援助が多いということになりますので、その分給付額も大きくなります。

本来65歳以上になった時には『介護保険被保険者証』が交付されますが、それを呈示したところで介護保険を利用出来るのではありません。

介護保険を利用したい場合には、要介護認定の申請を行い審査を行われ、要介護認定を受けた場合に利用することが可能となります。

しかし、介護保険サービスでも、中にはその方の程度によっては利用することが出来ないサービスもありますので、ケアマネージャーとしっかりと計画を立てて活用することが大切です。

要介護認定を受けるためには、それぞれの市役所等の介護保険課へ連絡し申請を行いましょう。

申請後、自宅へ調査員が訪問し、聞き取りを行い心身の状態を把握・確認し調査書へ記入します。

主治医からの意見書や調査書をもとに、どの程度介護等が必要かを考察し要介護度を判定するので、約1カ月~3カ月程度時間がかかります。

在宅医療を行うためには出来る限り、要介護認定の申請は早くに行っておくことがおすすめです。

③自分の想いや希望をまとめておく

在宅医療を行う前に準備しておくこととして、自分の想いや希望をまとめておき、冊子にまとめておくか家族の誰かに伝えておくことが重要です。

通院医療や入院医療と異なり、在宅医療は患者の意思や希望を優先して行います。

そのため、最先端の医療による治療ではなく、症状の緩和であったり、継続的な医療処置を行うことに重点をおき、いかに自宅で過ごす時間が充実したものになるかを目標にしていきます。

在宅医療を行うためには、患者の意思や願いと、患者を支える家族の願いを充分に理解する必要があります。

自分の想い等を双方に理解してもらうためにも、書面に記入してわかりやすく示しておきましょう。

『終活ノート』や『エンディングノート』、『もしもノート』等と呼ばれる自分の希望する治療方針や自分の考えなどをまとめておき、大切なことを大切な人に伝えておくようにしましょう。

今は、このようなノートが市販されていることもありますので、在宅医療に関係なく出来る限り早い段階で準備しておくことがおすすめです。

これらを用意しておくことで、何かあった時に、在宅医療を希望していたことや、延命治療についての考えなどを理解してもらい、尊重した選択をしてもらうことが出来ます。

在宅医療を考えはじめた時には、準備しておくようにしましょう。

このように、在宅医療をスタートするためには事前の準備や手続きが必要になります。

在宅医療を希望するのが本人であっても、家族であっても、早くに実現するためには流れを把握しておき、必要な手続きや申請をすぐに行えるように準備しておくことが大切です。

在宅医療を始めるまでの流れは上記になりますが、もしわからない場合にはかかりつけ医に相談をして手続きを行うようにしましょう。

在宅医療についてわからないことは誰に相談するの?

在宅医療を希望している時に、何かわからないことや疑問に感じたことがあれば、必ず相談することが大切です。

通院や入院と異なり、常に医師による説明を求めることが出来ないので、在宅医療をスタートするまでに疑問は解決しておくようにしましょう。

必要な物や、手続き方法など在宅医療は病院ではなく自宅で行いますので、それを支える家族等は不安や心配事がその都度表れてくるでしょう。

そんな時に、悩みを先延ばしにすると壁にぶつかってしまったり、思うようにサポートすることが難しくなってしまいます。

在宅医療についてわからないことがあった場合には、かかりつけ医や、ケアマネージャーにまず相談します。

かかりつけ医やケアマネージャーに相談を行った時に、例えばリハビリテーション等の専門的な意見が必要となった場合には、かかりつけ医やケアマネジャーが誰に相談したらよいか、またはかかりつけ医やケアマネジャーが相談し応えを伝えてくれます。

在宅医療をはじめて行う場合には、特に多くの疑問や不安が生じてしまいます。

そんな時に、相談する相手を心に決めておくことで、ストレスを出来る限り少なくして在宅医療をスタートすることが出来ます。

まとめ

第3の医療としても今後増えていくことが予想される在宅医療。

通院することが困難な方であったり、入院するのではなく自宅で残りの人生を過ごしたいと願う方にとってはなくてはならない医療となるでしょう。

在宅医療を受けようと思ってもすぐには難しい場合がありますので、事前にどのような準備が必要か等をしっかりと確認しておき、スムーズにスタート出来るようにしておくことが大切です。