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直面する「2025年問題」と在宅医療

2020年08月11日

「2025年問題」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

聞いたことはない、聞いたことはあるけど詳しいことは知らない、という方も多いのではないかと思います。

この記事では、「2025年問題」の概要と医療への影響、特に在宅医療との関わりについて紹介をします。

どんな問題なのか、自身へどんな影響があるのか、ということがイメージできるようになると思います。

「2025年問題」とは

日本は急速に高齢化が進んでいることは知られていますが、どれくらい高齢者がいるのでしょうか。

2015年にはいわゆる団塊の世代が前期高齢者(65-74歳)に到達し、およそ3300万人が高齢者以上となりました。

さらに10年を経た2025年には団塊の世代は後期高齢者(75歳-)となり高齢者は3500万人、後期高齢者だけでも2200万人となる推測されています。

2200万人というと日本の人口の5人に1人が後期高齢者となります。

75歳以上の人が増えると、医療費や介護費などの社会保障費が急速に増加します。

1人当たりの医療費は、65歳までは平均で18万円と言われていますが、75歳以上になると90万円まで膨れ上がります。

高齢化と同時に少子化も著しいため、労働者世代が今後増えることは期待できません。

そのため、必要な医療費が増えれば財源を補うために労働者世代からの社会保障費の徴収が増えることも懸念されます。

急速に増加する高齢者と社会保障費に対応していくために、医療の世界でも大きな転換点を迎えています。

医療への影響

これまでの医療と問題点

これまでの医療は、病気になれば医療機関を受診し、検査や治療を受けます。

必要なら通院や入院での診療を受けます。

入院をしても、若い人や無事に回復した人は自宅で生活するようになるわけですが、高齢者になると必ずしもそうではありません。

病気による障害や入院による体力の低下、あるいは認知症などのため自宅で生活する能力が十分でない場合には自宅へ退院することができません。

数十年前であれば3世代で生活する世帯も珍しくなく家族みんなでお世話をするということが可能でしたが、現代では核家族世帯と夫婦共働きが主流のため、離れて暮らす高齢者の介護を十分に行うことは現実的ではありません。

自活できない、家族の介護許容度を超えるという場合には、療養型の病院での長期入院や老人ホームなどの施設へ入所することになります。

しかし、既に病院や施設の受け入れ可能数は限界に達しており、転院や施設入所まで数か月待ちということも珍しくありません。

医療の現場でも、高齢者の生活する場所の確保が大きな問題となっています。

これからの医療と対策

人生最期の時をどこで迎えたいか考えたことはあるでしょうか。

ある調査によると、60%が自宅で最期を迎えたいと回答しています。

住み慣れた場所で近しい家族とともに過ごしたいという想いは自然なことです。

しかし、上述のように、自宅で過ごしたくても病状や療養環境の問題で医療機関や施設での療養を余儀なくされる方が多く、想いを叶えることができないの現状です。

そこで重要度が増しているのが地域医療の充実です。

地域医療は、病院やクリニック、介護サービス業者や行政とそれに関わる多くの職種により構成されます。

通院や入院が主体であった医療から、自宅にいながら診療を継続するシステムが徐々に構築されています。

在宅医療はその中心となる役割を担います。

在宅医療とは、患者さんの自宅を訪問して診療を行うことを言い、身体機能の低下や重度の障害などにより医療が必要であるにも関わらず医療機関への通院が叶わない患者さんが対象となります。

高齢者医療は生活習慣病や老化に伴う障害がほとんどで、手術など高度な医療を要する患者さんは減ります。

そのため、在宅医療という形で診療をまかなうことができ、医療費の削減という点でも大きな意味を持ちます。

我々はどう向き合うべきか

「2025年問題」と医療の現状と問題点について概説しました。

長生きと言えば素晴らしいことではありますが、一方で高齢者が増加することにより大きくなる問題もあります。

この記事を読んでいるのは労働者世代が多いのではないかと思います。

高齢者医療に人的・金銭的資本を多く投入することは自身の世代や次の世代の負担が大きくなることを意味しており、他人ごとではありません。

決して高齢者を切り離すのではなく、必要かつ十分な医療と満足度の高い生活の両立を実現することは容易なことではありませんが、在宅医療の充実によってその一助になると考えられます。

高齢者に近づいている方、近親に高齢者のいる方は一度今後のあり方を考えてみてはいかがでしょうか。

written by 内科医: Dr.NOZAKI