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在宅医療に従事するスタッフの職種

2020年07月17日

近年、在宅医療へのニーズは高まっており、医療従事者にとっても新しい働き方の一つとして注目されています。

しかし、医療に従事していても在宅医療のことはよくわからない、どんな仕事をしているのか知らないという方は多いのではないでしょうか。

この記事では、在宅医療の現状や働いている職種と業務内容を紹介します。

在宅医療とは

在宅医療とは、患者さんの自宅を訪問して診療を行うことを言います。

身体機能の低下や重度の障害などにより医療が必要であるにも関わらず医療機関への通院が叶わない患者さんが対象となります。

あるいは、最期の時をご家族と自宅で過ごしたいという患者さんやご家族の想いを叶える方法でもあります。

高齢化社会を迎えた日本において、医療機関に通うことができない患者さんは増加することが予想されますが、全員が療養型病床への入院や施設へ入所するには限りがあります。

また、厚生労働省の調査によると、国民60%以上が自宅での療養を望んでいることが示されています。

このことから、今後の日本に医療において在宅医療の役割はより重要になると考えられ、在宅医療に従事する人材へのニーズも高まっています。

在宅医療と医療施設の違い

在宅医療ではあらかじめ決められたスケジュールに沿って通常は医師と看護師が患者さん宅を順次訪問します。

必要に応じて他の職種が訪問することもあります。

在宅医療では患者さんの想いに寄り添い、生活のしやすさを重視します。

積極的な検査や治療による予後の改善を優先する医療施設での診療とは大きく異なる点になります。

利用できる医療資源は限られますが、次に紹介する多様な職種が協力することで患者さんの健康やQOLの維持・向上に貢献することができます。

在宅医療に関わる職種

在宅医療と言っても関わる職種は病院と変わりません。

医師

在宅医療の中心となる職種です。

定期的に患者さんの基礎疾患の経過の確認、全身状態を診察し検査や治療を行い、関連する他の職種へ必要な指示を出します。

患者さんのもつ疾患・病態は幅広く、総合的な診療を行うスキルが求められます。

また、大切な仕事の一つとして緩和ケアや最期のお看取りも行うので、患者さんやご家族とのコミュニケーションが重要となります。

歯科医師

在宅医療を利用する患者さんの多くは、口腔内環境を保つことが困難です。

歯周病ケアなど口腔内の衛生を保つことで誤嚥性肺炎のリスクを低減することが期待できますし、齲歯や義歯不適合による食欲低下も臨床ではしばしば経験します。

このように、歯の健康や口腔衛生はQOLに大きく関わることから、歯科医師の果たす役割は大きなものがあります。

看護師

看護師の担う役割は多岐に渡ります。

症状・バイタルサインのチェックや療養環境の整備、栄養や排泄の管理などケアの中心となります。

医師の指示のもとで、採血や点滴、吸痰や褥瘡処置などの医療行為を行います。

また、患者さんやご家族にとっては一番に相談をしやすい対象でもあり、医師やその他の職種との情報共有を行う上で重要な役割を担います。

薬剤師

医師の指示した処方箋に基づき調剤し、患者さんのご自宅へ医薬品を供給し服薬指導を行います。

服薬状況や副作用の有無を確認することも大切な仕事です。

患者さんにとってより適切な剤型や用法があれば医師に対して提案を行います。

在宅患者さんへの最適かつ効率的で安全・安心な薬物療法の提供を行う上で重要な役割を担います。

リハビリ職

患者さんの状態や生活環境を確認し身体機能の維持・向上を図ります。

実際に生活する場で行うためより生活環境に即した能力へのアプローチを行うことができる点が病院などで行うものと大きく異なります。

自宅での生活に求められる身体能力の維持・向上(理学療法士)やトイレや入浴など生活する上で行う実践的な動作の習得(作業療法士)、嚥下や発声・発語の訓練(言語聴覚士)があります。

より安楽・安全に在宅での療養を行う支援を行います。

栄養士

患者さんの持つ疾患に応じた栄養アセスメントの上で栄養障害の有無や適切な栄養管理が実施されているかを評価し、食事の形態や味付けなど患者さんにとって適切な食事摂取方法の検討を行い医師へ提案を行います。

単に「栄養を摂取する」ということだけでなく、「食事」という人生の楽しみの一つに関わる重要な職種です。

医療ソーシャルワーカー(MSW)

在宅医療を受ける患者さんの多くは病院などの医療機関での診療を経て、在宅医療という形へたどり着きます。

病院の医師と在宅医の情報交換は疾患面の内容に偏りがちですが、実際に在宅療養を行うにあたっては病状の情報だけでは十分ではありません。

自宅の環境やご家族の生活情報など在宅医療を実施するために必要な情報を在宅医側へ提供し、医療機関と在宅医療の架け橋となります。

ケアマネージャー

介護保険を利用する場合には、ケアマネージャーがケアプランを作成し他の職種や介護サービスの事業者との調整を行います。

在宅において受けられる介護サービスの紹介やサービス給付費用の計算や請求の代行も行います。

在宅医療は今後の医療を支える仕事

在宅医療に関わる職種の業務内容を概説しました。

冒頭でも記載したように、今後ますます在宅医療のニーズは高まることが予測され、病院・クリニックに続く「第3の医療」とも言われています。

一方で、在宅医療に関わる職種の多くは人手不足であり、人材の確保・育成が急務とされています。

医療施設での業務内容・労働環境とは異なる点は多くありますが、「患者さんのQOLに貢献する」と言う点では何も変わりません。

患者さんの自宅で医療を行うということは、より患者さんの想いに寄り添った医療を行うことでもあります。

これからの日本の医療を支える在宅医療に従事することは、魅力的な選択肢ではないでしょうか。

written by 内科医: Dr.NOZAKI